奇


 ある男性から

最も印象的な夢です。 3、4歳だったと思います。

私は、お化け屋敷に入ろうとしていました。
遊園地などといった場所に、よくあるお化け屋敷です。 
「お化け屋敷」と書いてあったわけではないのに、そのただ黒
い建物を、私はお化け屋敷だと認識していました。
とても恐いと思いながら、恐いもの見たさで中を覗こうとした
私を、 何かが強い力で中に引き入れました。

気がつくと、そこは真っ暗で、私は埃っぽい床の上に、仰向け
になるように、手足を拘束されていました。
恐怖で泣きながら、何か見えないかと周りを見回しました。
すると、どこから光が入っているのかはわかりませんでしたが、
薄明かりの中に軍服を着た男の人が立っているのがみえました。
こちらを見ているのか、ただ黙っていました。
帽子のつばの陰になって、顔はよくみえませんでした。

それがまた恐ろしくて、私は声をあげて泣いていました。 

気がつくと、その男の人の姿はなく、
拘束されていたはずの体も、突然自由に動くようになりました。
「逃げなければ!」そう思った私は、薄明かりのもれている方
に走り出そうとしましたが、 恐怖のあまり、足腰に力が入らず、
必死になってはっていきました。
やっと光源にたどりつくと、扉が少しだけ開いていて、外の明
かりがもれていました。

這ったまま、その扉をおしあけると、
そこには日が沈んだあとの、真っ赤な夕焼けと、地平線があり
ました。どこまでも荒野で、空は血のように真っ赤で鮮やかだ
ったのです。
その景色に圧倒されて、思わず真上を見上げ、また泣き出しそ
うになったそのとき、はっとして目がさめました。

すぐさま、隣に寝ていた祖母に抱きついて、
「恐い夢をみた」と言って、夜中に泣きわめきました。 
それは、ちょうどお盆でした。
その日は、盆踊りから帰ってきて、浴衣を脱ぎたくないとだだ
をこねて、 浴衣のまま寝たのでした。
祖母は、「浴衣などと、着慣れない、寝苦しい格好で寝るから、
恐い夢を見るのだ。」 と言っていました。

  眠り男のコメント

  私も子供のころからお盆のときには、奇妙な体験をするの
  で、毎年のお盆の日にはなにか特別な意味があると感じて
  います。(もちろん地域によっては旧盆を迎えるところも
  あります)
  お盆にまつわる不思議な体験をしている人は結構多いと思
  います。