1997年 9月


9月4日
 
  午前4時前に観た夢

夜明けのような風景のなか、船に乗っている。
船は小型で、僕はその最後尾のデッキにいて、航跡をながめている。
「遠くへ来たなあ・・・」と、止めどなく涙を流していた。
甲板の向こうにお煎餅を食べながらおしゃべりを続ける女の子が二人いた。
その女の子の一人が煎餅の袋を差し出しながら僕を呼んでいる。
僕が無視していると、女の子はこちらへ寄ってきた。
「一人にしててくれ!」
心のなかでそう祈りつつ女の子から目をそらしていた。
とうとう女の子が僕の右肩をポンとたたいた。

           ・・・思わず「うるさい!」と叫んで目が覚めた。
              右肩には生々しい感触だけが残った。
9月7日
 
  午前9時に観た夢

母と弟と父が逃走準備をしていた。
荷物は一つ残らず荷造りされ、みんなで逃走用の車に詰め込んでいる。
警察がやってきたとき、なぜか僕を残してみんな逃げていった。警察といっ
しょに祖父と祖母、それから妹までやってきた。
荷物は残らずなくなっていることにとりあえず安心する。

9月10日
 
  午前8時すぎに観た夢

広い体育館のなかで戦争が始まっていた。
迷彩服の兵士が土嚢のようなものを積み上げ、壕をつくっている。
素っ裸の赤ん坊が一人、目の前をよちよち歩いていた。
「あぶないっ!」叫びながら、赤ちゃんを連れて逃げた。
兵士がこちらに狙いをつけた。
瞬間、僕はあきらめたように兵士と目を合わせた。アメリカ人のようだった。
後頭部と背中を連続して撃たれる。
でも死なない。「死ねない」と思いつつ体が動かない。
いつの間にか死体が集められているようだった。自分も含めて・・・。
「死んでも地獄の業火に焼かれるというのはこういうことなんだな・・・」
一人で納得しながら、アウシュビッツ強制収容所のやせ衰えたユダヤ人の姿
を思い浮かべている。
死んでいながら生きているのは地獄だ!・・・叫びながら目が覚めた。
目が・・・目だけがまだ世界を見ている。

9月13日
 
  午前10時くらいに観た夢

藤本義一という泌尿器科の医者を訪ねて外出する。
藤本義一先生は作家の藤本義一に似ている。でもどこかが違う。
作家の藤本義一と違って、太っている上にとても愛想がいい。
その日、性病の診察をしてもらうつもりだった(なぜ?)。
藤本医院はガード下にある以前歩いた大阪の下町のような風景のなかに古い
看板を掲げている。そのとなりに小さな旅館があり、なぜかその浴場の脱衣
所が医院の待合室になっている。
怪しげだが、それでいて受け付けのおばさんが浴衣を着て妙に小ざっぱりし
ている。どこか変だ。

9月15日
 
  午前7時に観た夢

脳の切開手術を受けている。脳の真ん中に溜まった悪夢のエキスを取り除く
という変な手術内容だった。
掃除機のようなもので、その部分を吸い取っていた。
医者はマスクをし、顔がよく見えない。
自分の脳の生々しい映像をモニターで見ているが、妙に気持ちがよかった。

9月21日
 
  午前3時前に観た夢

堺正章がピンクのドレスで歌っている。
どこかのスタジオのようだ。堺正章は16才くらいの少年に見える。
ときどきスマップの中居くんの顔にも見える。
夢のなかで、やっぱり親子だったんだ、と思っていた。
妙な違和感で目が覚めた。
布団を蹴散らし、体が冷えているのに気がついた。

              ・・・もう少しで風邪をひくところだった。
9月23日
 
  午前4時すぎに観た夢

学校の教室のようなところにいる。
しばらくすると次々に見知らぬ女の子や男の子が現われる。
全員僕の弟や妹ということになっている。
覚え切れない兄弟、姉妹に圧倒されながら慌てて実家に電話をしている。
実家でも親戚が増えているようで、さらに驚いている。

9月29日
 
  午前3時に観た夢

見知らぬジャーナリストが自分の書いた本を勧めている。
「天国と地獄」といったタイトルで、中編2篇からなる文庫本だった。
「君は天国しか書いてないからこれを読んでみろ」と差し出された。
僕はそう答えながら、水色のカバーデザインの文庫本を手に取った。

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