夢についてもっと勉強したいのですが・・・

20代女子大生の相談より

何日か前に、自分が飛行機に乗っていて、それがどこかの団地に不時着する夢を見
ました。
その時、飛行機は墜落することもなく、また爆発したり、燃えることもなく、もう
一回飛び上がりました。
夢に出てきた人は、飛行機の搭乗員と見知らぬ男性会社員です。
わたし自身もいろいろと心理的な分析をしましたが、まったくわかりません。どう
してもこの夢が気になります。これには何かあるのでしょうか。

眠り男の回答:

この夢には予知的な要素があるようです。
飛行機が不時着するのは、予定や先の計画などが急に変更されることを暗示してい
るようです。
団地が現れるのは、現在の環境や人間関係が自分にふさわしくないと思っているこ
とをあらわしているようです。

相談者の返信:

ところで、眠り男さんが言った通りのことが起こりました。
正直すごく驚きました。具体的にはこんな事です。
わたしとお友達二人で、彼らの運転する車に乗って、今朝旅行に行くことになって
いて、ピックアップしてもらう予定だったのですが、何と彼らは昨日の夜にはもう
出発してしまったのです。バスで追いかけることも考えましたが、腹が立ってあき
らめました。
一ヶ月以上前から決まっていたのに・・・友達はわたしがパーティーに行くと言っ
たので、その後で来ると思ってたらしいのです。
思いっきり悪態をついて電話を切りました。
あの夢は本当でした。
わたしは今、心理学を専攻しているのですが、学校では夢の研究を進めたいと思っ
ています。でも教えられることは漠然として、具体的に何から手を付けていいのか
わかりません。


●どうしても気になる夢には、何かあるものです。
夢という現象は、単純に深層心理のあらわれではなく、その時は気がつかなくても
未来の出来事、現在起こっている状況、実際に起こりつつある事態を伝えているこ
とが少なくありません。
こういう現象は特殊なものではありません。心の現象、特に夢の現象は、科学的な
メカニズムの一部はようやくわかってきたものの、心理学的にはまだほとんどわか
っていないというのが現状なのです。

ところで、ユング心理学には「集合無意識」という考え方があって、無意識の深部
にある代表的なイメージを「元型」(アーキタイプ)として分類しています。ユン
グ心理学は夢を学んでいくためのひとつの手がかりにはなりますが、学校で学べる
のはあくまでカウンセリングや医療としてのものと考えたほうがいいと思います。

ある女性が神学系の大学教授に自分の夢を鑑定してもらったところ、バックグラウ
ンドのキリスト教が鑑定に反映されているというのです。また、深層心理学の専門
家の夢解きは、やはりユング心理学の考え方を強く反映したものだったそうです。
まるでこれは文学の世界ですね。
事後分析なら、人によって様々な解釈が生まれてもしかたがありません。

しかし、予知夢という現象が実際にあること、個人を対象におこなってきたこれま
での私の鑑定経験などから、夢の解釈にはかならず正解があるみたいなのです。
全体の印象を的確に読み解けば、夢の世界は、あなたの現在、過去、未来の特定の
情報をありのままに反映し、それを比喩的、直接的に伝えているものです。(私の
著作の夢相談の実例などを参考に)

「自分だけの夢の手引き書をつくってみること、自分自身の夢に通じること」

何よりもまず、自分自身の夢に興味をもってみてください。

学問的な功績はさておき、個人的には、精神病理や性に偏ったフロイトの理論は夢
の世界の真実からかけ離れているような気がしています。
私はユングを尊敬していますが、それは彼の理論にではなく、彼の夢との対話、自
分自身の夢とのコミュニケーションを工夫していたことに対してです。

他人の夢や想念のイメージをビデオのように記録する装置がないかぎり、裁判の判
決やスポーツ審判に逆転、誤審がかならずあるように、人が判断をすることにはど
こまでも不確定性がつきものなのです。
何を基準にするか、誰が判断するかで、その解釈が180度変わってしまうこともあ
るのです。
それが心の中で起こっていることなら、なおさらです。

自分で出歩いてみなければその土地のことがわからないのと同じで、夢のことをリ
アルに知る第一歩は、まずユングのように自分の夢と対話する習慣を続けたり、自
分自身について深く探求してみないことには、まったく先には進まないということ
です。