実際に目をつぶってみてください。どんなことが起こるでしょうか。
まず、あなたは周囲の音を注意深く聴きとるようになるでしょう。
誰かが咳払いする音、階下で聞こえるテレビのぼんやりとした音声、犬の吠える声
・・・その雑音から、あなたのまわりで今何が起こっているのか、映像ではなく、
音を使って、ひとつの世界のイメージをつくっているはずです。
やがて、誰かがドアを開けて入ってくれば、その足音を聴いただけで、それが御主
人なのか、お母さんなのか、すぐにわかるでしょう。

目の見えない人も、一般の人の夢と基本的に変わらないと言われます。
イメージというのは、映像だけを基にしているのではありません。
映像のイメージ、音のイメージという違いはあっても、電車に乗る夢を見たり、人
に会う夢を見たり、食事をする夢を見たりと、私たちとほとんど変わりのない夢を
見るそうです。

たとえば、イルカがすぐれた聴覚を使って、正確な距離や物の形を認識できるよう
に、音によって、すでに世界のかたちができているのです。